2021年6月に第1回公募の採択結果が公表されました。
事業再構築補助金事務局の採択結果のページによれば
・緊急事態宣言特別枠の申請者数は5,181者(要件を満たした申請件数は4,32
6者)の応募があり、2,866者が採択されました。
・通常枠・卒業枠・グローバルV字回復枠(以下「通常枠等」)の申請者数は17,
050者(要件を満たした申請件数は14,913者)の応募があり、5,150者が採
択されました。
合計の申請件数は約22,000件であり、想定より多かったと言われています。
採択率にすると緊急事態宣言特別枠が約66%、通常枠等が約34%という結果
になっています。
このように通常枠等の採択率はかなり低い結果となりました。
事業再構築補助金事務局によれば、約22,000件の申請の内訳としては
製造業:約5,000件
宿泊・飲食サービス業:約3,000件
卸売業・小売業:約3,000件
生活関連サービス娯楽業(ライブハウス等):約1,000件
申請が多い順ではこのようになっていました。
他には、農業、漁業からも申請がありました。
事業計画の内容としては
製造業:設備投資(新製品を作るための装置を導入する)
飲食業:デリバリー開始、セントラルキッチン導入(製造コストを下げて価格
的に差別化していく)
以上の2業種についてはこのような申請が多かったとのことです。
実際に申請書を作成した事業者から以下のような声があったとのことです。
・経営戦略を言葉で書くことの重要性がわかった。
・事業主と認定支援機関で良いチームができた。
・事業計画を作る中でお互いに発見があった。
・いざ書き始めてみると、15ページでは少ない
・事業計画を策定するために事業を言語化したことにより、中小企業の個々の
価値や強みを伝えることができるようになった。
事業再構築補助金に採択されることも重要ですが、自社を取り巻く状況などを
じっくり観察することができたことも意味があるということです。
まず、一番多かったものが「この事業計画はなぜ、顧客(売上)が増えるの
か?」という点に対して根拠の説明が弱いというものです。
申請書の約8割は、なんでそんなにお客さんが来ると思うのか?の説明部分が
弱かったと言われています。
例)宿泊業でコワーキングスペース(一つの場所に複数の事業者が集まり作業場
を共有するもの)として活用する。
→大宴会場をコワーキングスペースとして活用すると360名だった宿泊客が55
0人になります。
→なんで増えるのか。根拠の説明が欲しい。
例)製造業で植物エキスを抽出する設備を導入し、エキス市場を作る。
→誰が、いくらで、どれくらい買うのか。根拠の説明がない。
事業計画を策定する上で様々な不安や問題があると思いますが、着目する項目
を絞ることが成功の秘訣であるとされています。
→つまり、事業計画がコンパクトにまとまっているものが良いとされていま
す。
→あれもしたい、これもしたい、あれもこれも気になるという風に話を広げす
ぎるとまとまりがなく事業計画自体が成功しにくく見えるということだと思
います。
制度概要
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期
待し難い中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するこ
とが中小企業にも求められています。
そのために、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編またはこれ
らの取り組みを通じた規模拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小
企業等の挑戦を支援する制度です。補助を受けるには一定の要件を満たすこと
が必要です。
第一回の公募は令和3年3月26日から開始され、複数回の公募が行われます
(令和3年度にさらに4回程度実施予定)。1回の公募ごとに1~2ヵ月程度の公募
期間が設定されています。
主な申請要件
1 申請前の直近6ヵ月間うち、任意の3ヵ月(連続していなくてもよい)の合
計売上高が、2019年又は2020年の1~3月の合計売上高と比較して1
0%以上減少していること
2 事業再構築指針に沿った①新分野展開、②業態転換、③事業転換、④業種
転換、⑤事業再編を行うこと
3 認定支援機関と事業計画を策定すること
補助金額・補助率
補助金を申請するかどうかにかかわらず、自社の成長の方向性を考えること
は重要です。そのためのツールとして「製品・市場マトリックス」がありま
す。製品・市場尾マトリックスは、横軸に製品、縦軸に市場をおき、それぞれ
既存と新規に分割して、自社の成長の方向性を分析するものです。4つの象限
はそれぞれ「市場深耕戦略」「新市場開拓戦略」「新商品開発戦略」「多角
化・事業転換」に区分されます。
事業再構築に該当するのは、基本的に「多角化・事業転換」の戦略です。
「市場深耕戦略」「新製品開発戦略」も内容によって該当する可能性がありま
す。自社で考えられる取り組みを下のシートに記入してみましょう。